Beauty WItch 奥様は美魔女?
たまにインスタなどで、女子が#美魔女とつながりたい #美魔女になりたい などハッシュタグをしてるのを目にします。ビューティに関わる仕事(=日本と香港、アメリカで化粧品のマーケティングをしていました)をしていた時には、美魔女という言葉をそれはもう日本のあちこちでよく聞きました。でも、最近日本に全然行っていないんで、ハッシュタグ見て、この言葉はああ今でも健在なのねと知ります(←どんだけ世間からずれてんだか)。
美STが発刊してからの言葉だから、美魔女という言葉は使われるようになって比較的日が浅いにも関わらず、オトナ女子の間ではかなり浸透した言葉。これって英語にすると Beauty Witch??? えーと。。。かなーり魅力的ではないイメージの言葉となります。
キャッチーな言葉で世の中に浸透し、例年美魔女コンテストとかあるらしいんで、日本の中では美魔女はそんな悪い言葉じゃないだろうけど「あなたって美魔女よね」って女子同士言わないよね?褒め言葉にならないよね? 私個人は魔女って言葉には、ほんとの姿じゃないけど魔法をかけて(或いはかけられて)変身した、みたいな「魔女になるためにいろいろいじっててもおかしくない」みたいな人工的作為を感じる言葉に感じます。
たまに私は日本女子の懐の深さ?にギョッとします。2006年に酒井順子氏が「負け犬の遠吠え」って本だした時にも、アメリカに住んでて本自体は手に取らなかったけど「わあすごいタイトル。これ見て日本女子怒らないの?」って思った。本の中身が独身女子を応援するものだったのせよ、そうでないにせよ、こんな侮蔑分断的タイトルよく使ったねえと。まあ、おじさんは面白がるかもしれないし、マスメディア(=おじさんの世界です)は面白半分でPRしてくれるからと、マーケティング的視点からつけたタイトルなのかもしれないけど、今でもこのタイトルを平気でつけた作者の出世へのあざとい計算がひっかかり読む気がしない。
たかがタイトルじゃない、っておっしゃるかもですが、作家さんにとってのタイトルはご本人の顔。その方の中身が伝えたいものが透けて見えるから大事です。同じエッセイストとして出てきた昔の林真理子氏や、ジェーン・スー氏はこういうのやらないから好き。
さて、美魔女についてですが、もっとも使われる場面は、会社のおじさんやご近所さんが、とんでもなく美しいオトナ女子に対して「いやあ美魔女でいらっしゃる」と、フツーじゃないレベルの美しさを強調するために多少の畏怖を込めていう言葉なのかなって思います。
でも、実は美魔女って言葉に反応したのは私だけではなかったらしい。(今更知った)これについては社会学者の、谷口奈穂氏が 書いている記事がサマリーとしてまとまっています。 (下記ダイレクトリンクです念のため↓)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69660?imp=0
私はそもそも日本社会からはみ出ちゃって長いから、日本社会における独特の「良き妻や母としての役割」は正直わからない。でも、母として妻としてのロール=役割の抑圧っていうのは世界共通のものなので一般論としてはわかる、批判#1は、美魔女っていうと美にかまけてそうだからこれらの「妻や母としての役割」ちゃんとまっとうしてないんじゃないの!っての批判らしい。
批判#2は、踊らせられてる消費者、おばさんなのに若作りして痛い、かわいそう、などの批判。
批判#3は、美魔女化に賛同する女性達が、女性の価値を若さや美しさにおくことを助長するという批判。上野千鶴子氏は美魔女を「いつまでも性的欲求の対象として見られたい」ことから「気持ち悪い」といったらしいけど(汗)。
自身を美魔女化する事に熱心なオトナ女子は、果たしてこれらの批判にどうこたえるのでしょうか? そもそも自分の顔や身体のアンチエイジング欲求は「若く美しく見えたい」というただの「しがみつき」なのでしょうか? 男性からまだオンナとして見られたいという性的メッセージなのでしょうか?
そうかもしれない。美魔女はいつまでも若くありたいと若さに「しがみついて」いるのかもしれないし女性としての性的自信を得たいのかもしれない。しかし。私は美魔女の「コンテスト」に出て大衆に水着姿を披露し、審査員に優劣をつけられてもいいと思うくらいに自分を追い込んで頑張った女性には、素直に「頑張ったね!」と称賛を送りたい。注目されることでハッピーだったり、自信が持てたり、人生にハリがでたり、目標が持てるなら、きっかけとして全然ありではないでしょうか。
私はフェミではないですが、欧米に暮らして長いため女性としての権利や人権は主張したい派であるので、美魔女批判#1に関しては「何言っちゃってんの?」くらいにしか思わない。批判#2の「イタイ」的批判については「くやしいなら自分もやってみな」と思うだけ(このような発言をするのはたいていジェラシーが入っているから)。オトナになってから美しさを維持するためにはとんでもない努力が要る。もし若い女子が「おばさんイタイ」発言するなら、キミが同世代になってから同じ事を思うか20年後に教えてみろ!と思う。
批判#3:果たして美魔女化は、女性へどんな社会的メッセージを送るのか?について。若い女子にオトナ女子が頑張ってる姿を見せるのは悪い事じゃない。けど、外面を磨く事だけがオトナ女性の人生の勝ち方って思われるとちょっと違う気がする。美魔女を取り上げる美STや新聞などが男性おやじ目線だったりするから誤解されるけど、美魔女コンテストに登場した女性の多くは、このイベントを「きっかけ」にしてその後仕事を変えたり、海外に行ったりして人生変えている人が多いのです。オトナになるとしがらみも多いし、年齢制限がいろいろ厳しい日本ではなかなか新しい事をスタートするきっかけがない。その背中をコンテストで頑張った経験が押してくれるなら、若い女子へのメッセージとしても良いじゃないですかね。結果じゃなくて過程の中に学びがあるのだから。(美STにはそこをもっと取り上げて欲しい。)
ってか、外面だけではなく、頭の良さだったり記憶力だったりスポーツだったり、何かを競うコンテストって世の中には数えきれない程ある。学校でも会社でもずっと「順番」って残念ながらつきまとうもの。人間は常に順番をつけられたい、人より良い評価を頂きたいと思う生き物なのです。だから美魔女が世の中に増えて、結果コンテストが行われるのも自然の流れ。おじさんがライザップで身体変えてボディビルに目覚めてコンテストに出るのと何が違うのか。ボディビルダーが必死でコンテストへ向けて頑張るのも、美魔女コンテストに出ようと思って身体を絞るのも同じことじゃない? 彼らの全員が性的商品価値を上げるためだけにコンテストに出ているとは私は思わない。
私はこういう時に女性が女性をジャッジすることこそが女性間の分断を加速する原因と思う。勝ち組とか負け組とか、キャリアがあるとかないとか、キレイとかそうじゃないとか。女性は人生の選択が急速に多様化しているから、いろいろあって良い。自分と違った生き方をする女性に安易にレッテルを貼る(美魔女コンテストに出るんだってよ=浅い価値観の人ね!みたいな)事こそ危険だと思う。
ちなみに、もし自分の奥さんが美魔女だったら、あるいは急に美魔女に変身したら、夫としては嬉しいんじゃないかと私は思う。ただ若く見えて自慢できるとかじゃなく、奥さんはそのために多分沢山の努力をしていて、多分健康とかにも気を使っているから。愛する伴侶には健康で長生きでいてほしいだろうから、ちゃんと自分を大事にしていたら嬉しいと思うもの。
うちのハズバンドが美しく健康な身体になる努力するの、私は大歓迎です。
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